競争優位性の「競争」を否定: ブルー・オーシャンはエメラルド・オーシャンへ

競争優位性の「競争」を否定: ブルー・オーシャンはエメラルド・オーシャンへ

ブルー・オーシャンとは?「闘わずして勝つ」。その一言です。ただし抜けているのがサステナビリティです。

競争に勝つのではなく、競争を避ける

シルク・ドゥ・ソレイユが日本で公演しており好評を博しているようです。もう約20年も前に、シルク・ドゥ・ソレイユの戦略を分析し、競争優位性について述べた論文があります。

 

論文の中で、競合が多く文字通り血で血を洗うマーケットをレッド・オーシャン、競合が居ない状態をブルー・オーシャンと呼びました。そのネーミングの鮮やかさも有り今でもよく使われます。

 

競争優位性の「競争」を否定し、競争の無いマーケットを探すのがブルー・オーシャン戦略です。

 

ブルー・オーシャンに、サステナビリティの要件を追加

ブルー・オーシャンは、大きくは2つの戦略で探します。

  • 競合先をベンチマークとして使用せず、独自の市場を創る
  • 顧客価値を提供する一方で価格を下げる

シルク・ドゥ・ソレイユの場合は、動物ショーや花形キャラを止めてコストを下げる一方で、個性的なテントや芸術性の高い音楽とダンスという価値の提供により、典型的なサーカスのレッド・オーシャンを抜け出し、ブルー・オーシャンを見つけました。

 

ただし、当時はまだサステナビリティが今ほど重要視されていませんでした。探し当てたブルー・オーシャンが環境破壊された死の海だった、ではアウトです。

 

サステナビリティの要件を追加したブルー・オーシャンをエメラルド・オーシャンと名付けてみました。

 

ブルー・オーシャンとエメラルド・オーシャン
ブルー・オーシャンとエメラルド・オーシャン

エメラルド・オーシャンは、従来のブルー・オーシャンにサステナビリティの要素が加わる

馴染んだマーケット(ただしレッド・オーシャン)を抜け出す勇気を出し、エメラルド・オーシャンを探す

日本企業は、今現在の同一業界・業種内の競合を気にし過ぎるように思います。コンサル案件で、ウンザリするほど聞かれるのが、「他社はどうですか?」です。

 

それも他社に無い独自性を探すならともかく、同じ方向性だと「戦略が外れてなかった」と安心する、奇妙な意識です。

 

ぜひエメラルド・オーシャンを探し当ててください。

 

価格競争から抜け出し独自に市場探しに悩んでいるなら、是非ビズフォリオまでご相談ください。

 

参考資料: Kim, C. W. , Mauborgne, R. , (2004),  “Blue ocean strategy,” Havard Business Review, vol. 82, no. 10, pp. 76-84, 2004. 

 

※記事は執筆者の個人的見解であり、必ずしもビズフォリオの公式見解を示すものではありません。

 

 

三木章義
PMP/FP/産業カウンセラー ビズフォリオ合同会社 代表社員

 

日系Sierでシステムコンサルティングに従事。企業における業務改革やBPR(業務のリエンジニアリング)、ビジネスモデルのトランスフォーメーション、プログラム/プロジェクトマネジメント等を支援。

 

2016年にビズフォリオ有限責任事業組合を設立。2021年より合同会社に形態を変更。「マネジメント・サイエンスを活用して価値創造の変革に貢献」を経営理念に、セミナーやコンサルティングサービスを提供している。