『標準化』という名の思考停止 ── 企業が陥る火縄銃の罠

DXを推進してもなぜ変わらないのか?納得の理由

[羅針盤008]

「わが社は支店ごとに業務がバラバラで」「転勤するとイチから業務を覚える必要がある」

 

どこの会社に行ってもよく聞く言葉です。ERPが導入されようが営業がSFAを使おうとも、当初の標準化の目的は薄れていき、気が付けば元の木阿弥です。

 

標準化を提案するとほぼ全員賛成です。実際には、なんだかんだと理由をつけ抵抗に会います。そして、標準化を目的に開始するプロジェクトは、間違いではありませんがどこかズレている印象を持ちます。

 

標準化は目的ではなく手段

標準化で誰がやっても同じ結果になると思うと、自分の価値がなくなると感じるのでしょうか。これは日本人の特性なのかもしれません。

 

西洋では、科学が鉄砲を進化させてきました。ところが、鉄砲伝来後、弾が飛ぶ物理的な理屈や、火薬が爆発する化学的なメカニズムそのものには関心を示さなかった日本人は、個人の技量と職人の勘だけで改良し当時世界一の鉄砲を開発しました。

 

ところが、ここで頭打ちです。西洋が銃の構造そのものを科学的に進化させていく中、日本は約250年間の江戸時代、ずっと戦国時代と同じ仕組みの旧式火縄銃を使い続けていました。 

 

標準化は目的ではなく手段です。標準化実施後を考えて手を打っておくべきです。それには仕組み作りが重要です。

 

鉄砲を進化させたのが科学だったように、標準化にはその仕組み作りが組み込まれていなければ成功しません。1つは常に新しい考え方を取り込んで標準を改定していくことです。もう1つは現場の工夫を即座に評価して良いものは全社に展開します。

 

ツールを入れるだけの標準化は、属人化に変容していく
ツールを入れるだけの標準化は、属人化に変容していく

現場力などと意味不明の言葉に踊らされず、標準化の仕組みづくりに専念

標準化は同じ業務内容にするのではなく、同じ業務内容になる仕組み作りです。経営者には、標準化をすると現場の工夫が止まってしまうのでは?と懸念があるかもしれません。

 

しかし、高価なツールだけ入れて「あとは現場で」という従来のやり方では必ず失敗します。現場の工夫と属人化をはき違えてはいけません。

 

現場力といった耳当たりの良い割に意味が不明な言葉に踊らされずに、仕組みづくりの覚悟が必要です。現場の工夫を全社標準へ昇華させる経営戦略と連動した評価制度の導入は急務です。


──とはいえ、なぜ多くの企業が「標準化」を掲げながら、独自の進化を止めた旧式火縄銃のような思考停止組織に陥ってしまうのか。その構造的な罠を理解することは不可欠です。まずは生成AIを使い、自社が同じ過ちを犯さないための「知識の棚卸し」から始めましょう。今すぐ以下の【魔法の指示文】をAIにそのまま貼り付けてみてください。

【経営者のためのAIプロンプト】

あなたは優秀な経営コンサルタントおよび組織戦略の専門家です。
企業が「業務の標準化」を推進する際、目的を見失って「標準化すること自体が目的化する(現場の思考停止を招く)」根本的な原因を、組織論の観点から解説してください。
また、これを真に成功させるために、経営陣が事前に定義しておくべき「現場の工夫を全社へ展開する仕組み」の不可欠な要件を、経営者視点で箇条書きで3点提示してください。

貴社のより深い課題解決やDX推進については、ぜひビズフォリオへご相談ください

 

 

三木章義
PMP/FP/産業カウンセラー ビズフォリオ合同会社 代表社員

 

日系Sierでシステムコンサルティングに従事。企業における業務改革やBPR(業務のリエンジニアリング)、ビジネスモデルのトランスフォーメーション、プログラム/プロジェクトマネジメント等を支援。

 

2016年にビズフォリオ有限責任事業組合を設立。2021年より合同会社に形態を変更。「マネジメント・サイエンスを活用して価値創造の変革に貢献」を経営理念に、セミナーやコンサルティングサービスを提供している。

※記事は執筆者の個人的見解であり、必ずしもビズフォリオの公式見解を示すものではありません。