[羅針盤007]
「これで遅れていたうちの業務もDXで効率化されます!」と担当者から稟議書があがってきました。
かつてBPRは誤解され、仕事はそのままで人だけ減らして人件費を削減するという、間違った形でリストラは導入されました。残った少数の人たちが現場の工夫で乗り切り、ますます属人化が進みました。
そんな状況に昨今の人手不足が加わることで多くの企業が苦しんでおり、DXで解決を図ろうとしています。しかし、また間違いを繰り返しそうです。
ニーズも無い業務は、消し去る
BPRの施策の順番は、まず価値が無いムダな業務は止める、次が、人手をかける価値が無い業務は自動化、最後の手段が効率化です。BPRにおいて、ムダな業務は消し去るのが大原則です。
しかし、多くのクライアントは、To-Be案を作成してもなかなか思い切って止める決定に至りません。現場は効率化で業務負荷が下がることは歓迎ですが、仕事が無くなる施策には反対します。「現場が反対ならうまくいかない」と諦めます。
実際、DXで成果が出たとアピールしている会社でも、ムダな業務をRPAに変えて満足している状況だったりします。
かつて、LPレコードからCDに変わった後、MDやDATなど、顧客ニーズが無い高スペックなだけのムダな商品を数多く日本企業は発表しました。「媒体を買って音楽を聴く」という顧客の行動を消し去る考え方が出来なかったからです。結局、LPからCDの次はサブスクが、世界的な流れになっていきました。
このように、ゼロベースで「消し去る」ことが出来ずに経営判断を誤ると、大きな損失を生む結果となる可能性はかなり高いです。

消えるものの大きさで、承認を決定する
新しいDX施策の稟議があがってきたら、記載されているDXツールの想定導入効果より、現状から何が消えるかを経営者は確認すべきです。
稟議書に業務効率化と書かれていたら要注意です。恐らく、記載の想定効果は眉唾ものです。
消えるものの大きさで承認を決定する姿勢を徹底してください。そうしないと、顧客ニーズも無いムダな業務や高価なDXツールが社内に増えるだけです。
【狙い】 ブログの比喩(MD vs サブスク)をそのまま用いて、投資の方向性が「既存の延長」か「パラダイムシフト」かを判定させます。
【経営者のためのAIプロンプト】
音楽媒体の歴史において、顧客の行動を根本から変えた「サブスク」と、既存の延長線上で高スペック化しただけの「MDやDAT」という比喩を用いて、この施策を評価してください。
- この施策は、現状の業務の「高スペックMD化(ムダの高度化)」ですか? それとも「サブスク化(パラダイムシフト・業務の消去)」ですか? 理由とともに判定してください。
- もし「高スペックMD化」の傾向がある場合、これを「サブスク化」のレベルに引き上げるためには、現場にどのような「問い」を投げ返すべきですか? 経営者として発すべき質問を3つ提案してください。
(ここに施策の概要を貼り付ける)
※記事は執筆者の個人的見解であり、必ずしもビズフォリオの公式見解を示すものではありません。
三木章義
PMP/FP/産業カウンセラー ビズフォリオ合同会社 代表社員
日系Sierでシステムコンサルティングに従事。企業における業務改革やBPR(業務のリエンジニアリング)、ビジネスモデルのトランスフォーメーション、プログラム/プロジェクトマネジメント等を支援。
2016年にビズフォリオ有限責任事業組合を設立。2021年より合同会社に形態を変更。「マネジメント・サイエンスを活用して価値創造の変革に貢献」を経営理念に、セミナーやコンサルティングサービスを提供している。

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