簡単だが難しい、AIの導入が成功するただ一つの方法

DXを推進してもなぜ変わらないのか?納得の理由

[羅針盤006]

「これからAIで事務は人がどんどん要らなくなるんですよね、先を見越すと何人くらい採用しておけば良いのでしょうか」とクライアントの人事部長から相談を受けました。

 

ここ最近はどこの会社に行っても人不足で「採用できない、どうすればいいか?」という話ばっかりだったのに、少し風向きが変わったみたいです。

 

それだけ、ホワイトカラー職に対するAIのインパクトの大きさを身近に感じたエピソードの1つでした。

AIの入れ方を間違うと、関連するブルシット・ジョブが増えるリスクが高い

間接部門の問題は、気付くとブルシット・ジョブで肥大化していることです。上昇する販管費が経営を圧迫します。

 

某人事部長の想定通り、AIで本当に人が減るのでしょうか。工場の自動化も当時同様の議論がされたそうですが、むしろ事務作業は増えました。同じく、単純にAIを入れただけで機能するとは到底思えません。

 

業務プロセスを知らないIT部門が本社主導でAIツールを開発・押し付けるアプローチでは確実に破綻します。外部のコンサルやベンダーへの丸投げは論外です。AIに関連するブルシット・ジョブがどんどん増えていくだけです。

 

日露戦争におけるロシアのバルチック艦隊は、膨大な予算を投じた当時最新鋭の戦艦を中心に編成された巨大艦隊でした。しかし、乗る兵員の多くは農民出身で、複雑な艦砲射撃の訓練をほとんど受けておらず結果壊滅させられました。

 

本当にAIの導入で間接費の削減を実現したいなら、現場の実務を熟知した担当者自身がAIツールを構築することです。

目使いこなせなければ、最新鋭の高価なツールも海の藻屑
使いこなせなければ、最新鋭の高価なツールも海の藻屑

トップダウンで統制を取りながら、現場の工夫を引き出していく

AIツールの構築という現場の担当者に本務以外をさせるのは、生産性を低下させ、過度な負荷をかけるのではないかと心配になる気持ちも理解できます。

これは、よくある日本企業の従来方法、AIだけ与えておいて「後は現場でなんとかしろ」だとその通りです。

 

金を出す承認をすれば経営者の責任は終わり、ではなく、「自らのAIツールは自らで作れ。時間と権限は保証する」という徹底したトップダウンで、これまでとは根本的に違うと現場の担当者に実感させてください。


──とはいえ、なぜ最新のAIを導入した企業で、逆に事務作業や「調整」という名の無駄な業務が増えてしまうのか。その構造的な罠を理解することは不可欠です。まずは生成AIを使い、自社のAI投資が「バルチック艦隊」にならないための知識の棚卸しから始めましょう。今すぐ以下の【魔法の指示文】をAIにそのまま貼り付けてみてください。

【経営者のためのAIプロンプト】

あなたは優秀な経営コンサルタントおよびAI活用戦略の専門家です。
企業が「AIツールの導入」を進める際、実務を知らないIT部門主導や外部への丸投げが原因で、かえって「ブルシット・ジョブの肥大化」を招いてしまう根本的な理由を、 組織論の観点から解説してください。
また、その失敗を防ぐために、あえて「現場主導でのAIツール構築(実務担当者自身がツールを作るアプローチ)」を採用することのメリットを、経営者視点で箇条書きで3点提示してください。

※記事は執筆者の個人的見解であり、必ずしもビズフォリオの公式見解を示すものではありません。

 

 

三木章義
PMP/FP/産業カウンセラー ビズフォリオ合同会社 代表社員

 

日系Sierでシステムコンサルティングに従事。企業における業務改革やBPR(業務のリエンジニアリング)、ビジネスモデルのトランスフォーメーション、プログラム/プロジェクトマネジメント等を支援。

 

2016年にビズフォリオ有限責任事業組合を設立。2021年より合同会社に形態を変更。「マネジメント・サイエンスを活用して価値創造の変革に貢献」を経営理念に、セミナーやコンサルティングサービスを提供している。