[羅針盤005]
以前、「ナレッジマネジメントを構築したい顧客が居るので話を聞きに行ってくれ」と営業から言われて、会いに行きました。
会ってみて真っ先に目的を確認すると、「情報システムだけの話ではなく、ナレッジを管理する『仕組み』を構築したいんだ」という答えでした。ナレッジマネジメントは、ツールの選定しか興味が無い顧客が多いのにしっかりしています。
しかしその後、「まず、わが社にも何かナレッジがあるはずだから探してくれ」と言われ驚きました。
暗黙知の収集は、都市鉱山での資源発掘と同じ
ナレッジマネジメントは受けが良く、情シスからの提案で承認した経営者も多いと思います。
結果はどの企業も思わしくありません。ナレッジが溜まらない。ナレッジ提出を義務付ける、あるいは、良いナレッジには「いいね」をつけて承認欲求を満たす、提出すると社内ポイントが溜まる等あの手この手を使っても、結局高価なシステムがゴミ箱になっています。
待っていても決してナレッジは溜まっていきません。コストをかけて、社内に眠るナレッジを発掘する専門部隊を設けるべきです。
暗黙知を集めるのは、都市鉱山で貴重な資源を発掘するのに似ています。社内のいたるところに転がっています。価値が分からない所有者にはゴミに思えても、分かる人には宝の山です。その「目利き」の任命は経営者の責任です。
逆に、本人が価値があると思う投稿に任せるだけだと、ゴミのままのゴミ箱です。中身が「便利なEXCELショートカット集」になるのは火を見るよりも明らかです。

百聞は一見に如かず
わざわざお金をかけて自社のナレッジを収集することに疑問を覚える経営者もいるかもしれません。しかし、社員に呼びかければ社内のナレッジなどたやすく集まるはずという甘い考えは今すぐ捨て去るべきです。
もし既にナレッジマネジメントのシステムを構築済みなら簡単です。一度中身を覗いてご自身の目で確認してください。恐らく発掘の必要性を痛感すると思います。
何の迷いもなく予算をつけて発掘作業を指示する覚悟が出来ているはずです。
──「ナレッジを投稿しろ」と丸投げするだけの大号令では、現場は白けるだけです。価値ある暗黙知は、待つのではなく自ら泥臭く掘り起こさなければなりません。その変革の第一歩となる「対話の呼びかけ」はAIに委ねてください。10秒で、リーダーとしての覚悟と情熱が伝わる指示書が完成します。
【経営者のためのAIプロンプト】
社長は「社員の自発的な投稿に依存するナレッジ共有」から脱却し、社内に眠る貴重な暗黙知を都市鉱山の資源のように能動的に採掘する「ナレッジ発掘専門部隊」を新設するプロジェクトを開始したいと考えています。
現場に新たな入力作業を強いるのではなく、専門部隊がヒアリングを通じて暗黙知を引き出すという方針を伝え、各部門に協力を仰ぐ社内向けアナウンスの文面(メール形式・400文字程度)を作成してください。
現場の負担感を和らげつつ、社長の変革へのコミットメントが伝わるトーンにしてください。
※記事は執筆者の個人的見解であり、必ずしもビズフォリオの公式見解を示すものではありません。
三木章義
PMP/FP/産業カウンセラー ビズフォリオ合同会社 代表社員
日系Sierでシステムコンサルティングに従事。企業における業務改革やBPR(業務のリエンジニアリング)、ビジネスモデルのトランスフォーメーション、プログラム/プロジェクトマネジメント等を支援。
2016年にビズフォリオ有限責任事業組合を設立。2021年より合同会社に形態を変更。「マネジメント・サイエンスを活用して価値創造の変革に貢献」を経営理念に、セミナーやコンサルティングサービスを提供している。

コメントをお書きください