投資判断を誤らせる、箱モノ行政化現象とは?

DXを推進してもなぜ変わらないのか?納得の理由

[羅針盤003]

「データウェアハウスの使い方を教えて欲しい」。某情報システム部長から連絡がありました。

 

その会社は、「データドリブン経営実現のためにデータ分析基盤を構築」と大々的に広報発表済みです。当時結構有名になり、雑誌の記事にも取り上げられました。

 

そんな華々しい宣伝の裏側は、こんなお寒い状況でした。表示内容は従来の週報、月報と同じ、ドリルダウンといった分析機能は全く使われないどころか、見づらいので紙に印刷してくれ、となってしまいました。

 

データドリブン経営は、自らの意思決定をオープンにしてデジタルに落とし込む

話を聞くと、データ分析基盤の特長の1つが経営ダッシュボードでした。目玉だったのに経営陣から特に要件は出なかったそうです。仕方なく、将来必要になりそうなデータは全て保存するという方針で開発は進みました。

 

マーケットからの経営者への圧力は甚大です。実績アピールを狙い「データドリブン経営」や「リアルタイム経営」といった流行り言葉に踊らされ投資を承認した惨めな結果と言わざるを得ません。まさに箱モノ行政化現象です。

 

後の利用を考慮せず建てること自体が目的化するのが箱モノ行政の原因です。このように経営者の誤った投資判断は後々まで会社の業績を苦しめます。 

 

ましてやこのダッシュボードのユーザーは自分自身です。経営者は、自らの意思決定のプロセスをオープンにして、デジタル上の『型』として落とし込むべきでした。どんな情報が必要であるかは自ずと明らかになってきます。

 

貴社の投資は、箱モノ行政化していないか?
貴社の投資は、箱モノ行政化していないか?

──とはいえ、なぜ多くの企業が「データドリブン経営」を掲げながら、形骸化した箱モノ投資に陥ってしまうのか。その構造的な罠と基本を理解することは不可欠です 。まずは生成AIを使い、自社が同じ過ちを犯さないための「知識の棚卸し」から始めましょう。今すぐ以下の【魔法の指示文】をAIにそのまま貼り付けてみてください。

【経営者のためのAIプロンプト】

あなたは優秀な経営コンサルタントおよびIT戦略の専門家です。
企業が「データ分析基盤(経営ダッシュボード)」を導入する際、目的を見失って「システムを構築すること自体が目的化する(箱モノ行政化現象)」が起きる根本的な原因を、組織論の観点から解説してください。 また、この投資を真に成功させるために経営者が事前に定義しておくべき「不可欠な要件」の代表例を、箇条書きで3点提示してください。

「DXをやってくれ」では、社員は誰もついてこない

不確実性の時代に、やはり経営はアートであり経営者の勘が重要です。けれども、殆どの意思決定は言語化可能ですし、そのフィードバックが経営者の意識を高め意思決定能力の向上へと繋がります。

 

経営者が「DXをやってくれ」と意味不明の命令を下し、後は関知せずという態度であればついて来る社員など居ません。DX成功には、自ら率先して意思決定をデジタル化しデータドリブン経営を実践する姿を見せてください。

 

※記事は執筆者の個人的見解であり、必ずしもビズフォリオの公式見解を示すものではありません。

 

 

三木章義
PMP/FP/産業カウンセラー ビズフォリオ合同会社 代表社員

 

日系Sierでシステムコンサルティングに従事。企業における業務改革やBPR(業務のリエンジニアリング)、ビジネスモデルのトランスフォーメーション、プログラム/プロジェクトマネジメント等を支援。

 

2016年にビズフォリオ有限責任事業組合を設立。2021年より合同会社に形態を変更。「マネジメント・サイエンスを活用して価値創造の変革に貢献」を経営理念に、セミナーやコンサルティングサービスを提供している。